2015年2月24日火曜日

基礎断熱の是非について〜防蟻面から〜

基礎断熱について、FB上でもブログにまとめてほしいとのお話があり
今回整理の意味でもまとめたいと思います。

基礎断熱とは床断熱のほぼ対義語と考えて戴いて良いかと思いますが
床断熱というものは、土台や大引の間に主にボード状の断熱材を挟む、
一般の住宅で多く見られる工法です。

まず防蟻面で言えば、基礎断熱よりも床断熱の方が、基礎から断熱材が
離れている分、有利ではあります。
一方、温熱面では、気密処理が難しい(出来ないというわけではなく)、
特に配管周り・水回りなどの処理の難易度が高くなります。

基礎断熱でも、基礎の外側から断熱する基礎外断熱と、基礎の内側から
断熱する基礎内断熱に大別されます。温熱面だけで言えば、基礎外断熱が
理想とされていますが、コスト面と、主に防蟻上の理由から基礎内断熱を
選択される方も多いです。

温熱的に言えば、基礎外断熱が最も有利なのですが、防蟻上では逆です。
基礎外断熱材の吟味から始まり、検証すべき内容が非常に多くなります。
逆に床断熱は、温熱面では不利になりやすいのでその気密化も重要です。
古い住宅などでは、床下から覗くと断熱材が部分的に落ちていたりも...

さて、パフォームガードという、12000ppmともいわれる高濃度ホウ酸を
EPSというボード断熱材の製造工程で練りこんだ防蟻断熱材があります。
アメリカでは唯一、基礎に使える断熱材として認定、販売されています。

同じく、Do-All-Plyという、ホウ酸入りのシーリング剤も有り、断熱材
同士や基礎との合わさ、つなぎ目を処理するのなどに使います。
(上記商品はいずれも当社で取り扱いをしております。)

温熱のことに関しては、私は専門というわけではありませんので、どの
工法を選ばれるかは設計と施工次第とだけ申し上げさせていただきます。
ただ、防蟻の観点からすると、幾つか気になる点があります。

まず、断熱材について、これは基礎外断熱は絶対、基礎内断熱についても
ぜひ防蟻断熱材を使っていただきたいという点です。もちろん床断熱でも
ご使用を推奨いたします。(ちなみにスタイロフォームATという商品には
ネオニコチノイド農薬が使われておりますので、おすすめはいたしません)

これは気密化された、いわゆる高断熱・高気密の建物であればあるほど、
一旦シロアリが入ると、温熱的に良好でブルーオーシャンとなるからです。
その時に防蟻断熱材でないと、ボード状の断熱材は齧りやすくしろありの
大好物なので際限なく食われていく羽目にもなりかねません。

次に、配管です。まず基礎の底盤から土壌に抜ける配管は非常に危険です。
必ず配管は基礎立ち上がりから横に、抜くようにしていただきたいです。

そして配管周り、ここの処理を徹底していただきたいのですが、高気密を
手がける方ほど、ここの部分に気密化のために、一液性の発泡ウレタンを
噴かれやすいです。 ここに先ほどのDo-All-Plyか、あるいは次善策として
防蟻タイプの一液性の発泡ウレタンを使って噴いていただきたいのです。
無収縮のモルタルを穴埋めに使われるのも一つの手だとも思います。
そして、さらに加えてボロンdeガード工法のホウ酸溶液処理を重ねて行う。
これにより安全性が飛躍的に高まります。 当社では、本来はあくまでも
木部処理ですが、基礎の立ち上がりや底盤も極力掛かるように処理します。

高断熱化・高気密化により、防腐・防蟻への要求はよりシビアになります。
まず床下含め屋内空気を汚してはいけない。さらに結露やカビのリスクとも
対峙をしなければならない。そしてなによりシロアリ対策を徹底しなければ
なりません。何となれば床下の温熱環境の改善はシロアリの生息を容易にし
事実イエシロアリあたりは日本列島でも北上の一途をたどっているわけです。
床下エアコン始め、床下を温めることで、逆におびき寄せかねないですから。

一方、土壌処理については、効果もなくなるため可能な限りしないほうが
環境面からは良いのですが、例えばイエシロアリの要警戒エリアなどでは、
防湿シート代わりにフクビのアリダンシートあたりを材料のみ使用するのも
アイデアかもしれません。実際にお客様の有名建築家のM先生がお使いです。
スラブ下への施工で、環境負荷もごく最小限と考えられるからだと思います。

当社でも3月1日より、防蟻タイプ一液発泡ウレタンの取り扱いを開始する
予定です。(詳細はお問い合わせください。) 防蟻は総合的、重層的に。
この辺で良いかと考えずに徹底いただきたいものです。イエシロなめんなよ。
雨樋を伝って二階のベランダのエアコンのスリーブ穴から入っているような
酷いケースもありますから... アメリカカンザイシロアリもこわいのですが、
ハワイが州法で全構造体処理を義務付けているのもイエシロが猛威を振るう
からともいわれています。アリゾナのように家がいきなり崩れるケースも...

そもそもイエシロアリはお隣の台湾由来です。英語では "formosan termites"
ヤマトシロアリにイエシロアリ、アメリカカンザイシロアリに、離島では
ダイコクシロアリ、その他カンモンシロアリなど日本は皆さんの想像以上に
シロアリ天国なんです。最大限の注意を是非とも払ってください。
そして、ホウ酸濃度、処理量にも最大限のご注意を。類似品には要注意です。