2014年11月16日日曜日

長期優良住宅における劣化対策の見直しに係る提言内容【重要】

既報ですが、長期優良住宅への劣化対策研究会の問題提起、提言内容です。

プロの方は特にお目通しください。

要約すると、凡そ以下のとおりです。

・エリア見直し・北上(イエシロアリは新潟レベルの寒冷地まで警戒すべき)

・気候変動や高断熱高気密化による更なるエリア変更も含め、柔軟な対応が必要

・腐朽菌リスクは、結局樹種やエリアを問わずある為、腐朽菌対策が肝要

・木材保存処理剤の耐久性の問題

・加圧注入処理材の濃度ばらつきの問題

・蟻害発生の平均築年数は約13年、そのうち薬剤処理したものが2/3もある

・薬剤処理されていても、築0年(新築時)から被害発生したケースまである

・総じて、新たな処理法としての非接地・非暴露におけるホウ酸処理を意識した内容となっています。


9.6 長期維持保全計画の立案において考慮すべき因子

9.6.1 シロアリの分布

日本におけるシロアリ被害の実態を調査し、各シロアリ種の最新の分布マップおよび住宅被害を加味したシロアリ被害危険度マップを考慮した維持管理計画の立案が求められる。

本事業では、シロアリ・腐朽被害実態調査アンケートを実施するとともに、日本における主要木材加害シロアリ種であるイエシロアリ、ヤマトシロアリの野外分布調査を行い、各シロアリ種の分布を制御する気象要因を検討してきた。

また地表~地中温度の計測、イエシロアリ巣温計測、土壌性ガスの採集・分析から、ハザードマップに資するヤマトシロアリの野外分布限界として積雪がある状態での土壌凍結深が10 cm 以下であることなどを明らかにしてきた。

これらの成果をまとめて、ヤマトシロアリ、イエシロアリの最新の野外生息分布マップを明らかにした。

さらに劣化対策や維持管理の手法を最適化するために、各シロアリ種のハザードマップ(被害危険度マップ)の提案を提案した。

提案では、イエシロアリのハザードマップとしては、過去のイエシロアリ発生情報を加味して福島(1972)の提唱した1 月の平均気温0 ℃以上の地域を指定し、ヤマトシロアリのハザードマップとしては、ヤマトシロアリが越冬可能な環境を加味して、積雪がある状態での土壌凍結深が10 cm 以下の地域、であることを指定している。

今後これらの調査を継続・深化させることで、より正確なハザードマップの構築が可能になると予測され維持管理計画の立案において、地域性を考慮するための資料が獲得できると考えられる。

その一方で、都市化や住宅の高断熱化が進むと、住宅内や周辺でシロアリが越冬しやすい環境が人為的に形成されるため、地域の気候や環境要因のみではシロアリ生息の可能性は十分には評価できない可能性がある。今後はこれらについての検討も必要になると思われる。

また気候変動などによってシロアリの生息領域が変化することも考えられるので、劣化対策や維持管理計画の立案においては、修正可能で柔軟性のある手法も視野に入れる必要があると思われる。


9.6.2 腐朽リスク

住宅に生息する腐朽菌の種類、建物内での分布や国内での分布に関する知見も、維持管理計画を立案する上で重要である。

本事業では、近年急速に発達した遺伝情報を利用した木材腐朽菌同定手法を建築害菌の同定に適用し、菌糸や子実体が明確ではない住宅等の腐朽部材からの木材腐朽菌の検出手法を検討し、実践的な手法を確立した。

今回の事業で確認できた既往の方法に対する遺伝子を用いた同定の利点としては、子実体等がないサンプルから木材腐朽性担子菌を含む多数の菌を同定が可能である、同定に必要なサンプル量は僅かである、多数の菌種やその存在密度を解析可能である、およびこれらの情報に統計手法を組み合わせることにより、より詳しい解析が可能である、を挙げることができる。

本事業では、検証した手法によって、菌類の分布に関する知見を蓄積することを目的として、住宅などの診断現場で採取した試料について腐朽菌の同定を実施した。

その結果は、菌類の種類やその生息密度と採取地や採取部材との間には明瞭な関係が無いことを強く示唆していたが、まだサンプル数が少ないことや、東北・北海道のサンプルが入手できていないことなどから、信頼性の高い結論とするには時期尚早だと考えられる。

今後、腐朽材の採取地を広げ、サンプリング数を増やすことにより、両者のより正確な関係を明らかにできると考えられる。

また、腐朽が始まってから時間を経た腐朽材では、激しく腐朽しているにも関わらず菌類の遺伝子が検出できない(同定できない)という、限界も課題としその一方で、担子菌を中心とする木材腐朽性の菌類と、それ以外とを簡便に識別する手法の確立も重要で、これによって設計時の菌類に関する環境評価や維持管理上の診断や処置方法を策定する上で、信頼性の高い実務が確立できる。

さらに菌類の全国的な分布に関する検討に加えて、住宅については床下・室内・小屋裏や壁内、水周りなどの間での菌相や密度の違いも検討する必要があると考えられる。


9.6.3 保存処理材の耐久性

住宅部材に用いられる保存処理木材の耐用年数やそれに及ぼす環境因子に関する知見は維持管理技術の確立にとって重要である。

特に既往の接地・暴露条件ではなく、非接地・非暴露条件にある木材の耐用年数は基礎的知見として重要である。

本事業では、保存処理木材を適切に管理された住宅の構造用部材として長期間使用した際の耐久性を予測することを目的に、木粉に添加された状態で高温条件下に暴露する促進劣化試験を実施した。


これまで加温した環境に暴露する促進劣化試験を実施し、銅や第四級アンモニウム化合物については、長期にわたって問題なく使用できることを確認し、微量で効力を発揮するシプロコナゾールの住宅部材中での耐久性について検討した結果、木材に注入した場合でも残存率が暴露温度により異なり、温度が高いほど消失速度が速いことが明らかになった。

その一方で、実験法上での課題も明らかになった。例えば表面積の広い木粉の形状で暴露するよりも、表面積の小さい試験体の形状で暴露した方が、薬剤の減少速度が遅くなることが示唆された。

また注入処理用木材保存剤で処理された試験体に含まれる有効成分量の経時変化は、表面処理用木材保存剤の有効成分量の径時変化と較べバラツキが大きく、有効成分残存量と暴露温度との関係を厳密に議論することができなかった。

その原因として減圧下で木材保存剤を注入する方法をとったためと推定された。

そのため初期の有効成分量の変動係数を1%以下に抑える方法で調製した試験体を用いての有効成分残存量と暴露温度との関係を
検討した。

その結果、木材に注入した場合でもシプロコナゾール残存率が暴露温度によって異なり、温度が高いほど消失速度が速いことが明らかになった。

この事業の成果は、木材保存剤の耐久性を短期間で予測できることを示唆するものである。

これをベースにCUAZ を注入した試験体を用いて耐久性を検証したが、その結果は促進劣化45 日目までのものであり、今後も促進劣化試験を継続して実施する必要がある。


以上のように、本事業では木材保存剤の耐久性を評価および予測する手法を明らかにしたものの、実際に用いられる多数の薬剤について、様々環境下での薬剤自身の耐久性を示す幅広いデータを獲得するには至らなかった。

また分析方法そのものの簡素化や改良も望まれる。

今後、本事業の知見をもとに、知見が蓄積されることが望まれる。またそれによって、点検の周期などがより明確になる。

特に保存処理木材の耐久性について、非接地・非暴露の状態での基礎的知見を獲得することは、維持管理における点検周期を確定する上で重要であると考えられる。



3) 蟻害発生の有無

蟻害について、表2に示すように、今までに施工した住宅で蟻害が発生した工務店は17.2%であり、蟻害経験工務店あたりの総数は1~120 戸であり、平均8.8 戸であった。

蟻害が発生した住宅の築後年数は0~35 年、平均13.0 年であった。

所在地域でみると、北陸・甲信越、九州・沖縄では3 割程度、一方、北海道、東北では1割に満たず、わずかである。

長期優良住宅との関連をみると、長期優良住宅で蟻害が発生した工務店は1 社であり、被害例は40 戸であった。

最新の被害例において住宅の築後年数は2 年であった。

なお、蟻害発生箇所は不明である。

長期優良住宅以外で蟻害が発生したのは45 社であり、蟻害発生総数は1~120 戸、平均7.9 戸であった。

蟻害が発生した住宅の築後年数は0~35 年、平均13.2 年であった。

蟻害が発生した箇所は、浴室などの水回り、バルコニー・ベランダであった。

また、これら蟻害が発生した住宅の防蟻処理について、処理あり62.2%、処理なし33.3%であった。

防蟻処理されていたにもかかわらず、蟻害が発生した住宅の築後年数は0 年から35 年であり、平均15.3 年であった。

これらのことから新築や入居時に処理したのち、再処理されてない例が多いと予想される。

2014年11月14日金曜日

他社ホウ酸の結晶化問題

今年一番の寒さと全国的に言われています。
さあ、ホウ酸が結晶化するシーズンです。

他社品をお使いの方、結晶化してませんか?
ボトルの底でガサガサ言っていませんか?

ガサガサ言ってますよね。。知っていますよ。

だってそんなのごくごく当たり前の話ですし、
実際みなさんが、そう言ってますから。。。

他社品は我々より薄いので、結晶化した途端
危険ゾーンに入りかねません。

他社品で食害に遭った情報がすでに入っています。
しかもがっつりと畳まで上がってきたんだとか。
保険会社サンも、そりゃオカンムリでしょうね…

我々もこう寒いと当然いろいろ気を使ってます。
ところが昨日の現場で、急に機械トラブルが。。
前の濃い溶液が残ってたみたいで、機械がstop…

代替機で無事事なきを得ましたが、時間が倍は
掛かりました。。。メンテ後に復旧しましたが。

我々が気をつけていてもそんなことがあるのに。
ましてや、なんの気もつけていなかったり、
そもそも気のつけようもなかったり。。。
ボトル湯煎して底が抜けた方もおられます。。。

最近でこそ他社もクリアーも可になりましたが、
以前は色付きでないと保証が出なかったのです。
今でも大抵、色付きです。着色料入りです。
撒いたかどうか自信がない、確認出来ないから?

そしてEコボロンに限らず有機溶剤が入ってます。
Mクボーペネザーブは結晶化しにくい代わりに
トリエタノールアミンが・・・

自然派を謳って家の中に有機溶剤、嫌ですよね。。
よくあるホルムアルデヒドが含まれてませんとか
そんなの当たり前ですからね。シックハウスには
問題とされていない怪しい物質たくさんあります。

作り手さんも、住まい手さんもお気をつけください。
保証短縮の問題も然り、少しばかりの金額ケチって
大怪我するのは最悪ですよ。しかも、実際我々より
安いとも限りませんしね。

施工品質にバラツキの少ない、責任施工をどうぞ。
業界最高の濃度、保証が更なる安心感を生みます。

2014年11月13日木曜日

消毒? 予防をオススメします。

防蟻業者はよく消毒という言葉を使います。これには狭義の消毒すなわち
文字どおり殺菌消毒することも含まれますが、大抵は薬剤防蟻、すなわち
駆除剤である合成殺虫剤を虫のいない柱に塗ったり撒いたりを意味します。

FBでもこれについてはまとめで以前に書いたんですが、一体これのどこが
消毒なんでしょうか?清浄な空間にむしろ毒に近いものを撒いて消毒って。

私には悪い冗談としか思えません。アメリカンならぬジャパニーズジョーク。
世界中で誰もやらない、何なら法で実際禁止されているガラパゴス行為です。

もちろん関西なら和歌山の南部・海側のように猛烈にイエシロアリが活発な
エリアだと、駆除剤であれなんであれ新築で撒いておかないとという側面も
あるのかもしれませんが。。ちなみにアメリカカンザイシロアリ被害現場、
当該エリアだと新築築浅でも平気で食われます。なんなら建築中でも・・・
それはそれはそこの住まい手さんのことを想像するだけでもエグい光景です。

さて、一体誰が言ったか大手のシロアリ業者のトップが言ったとされる話、
「新築で100円玉を貯金箱に入れたら、後から一万円が引き出せる」と・・・

赤字同然でもなんでも新築でとりあえず入ったらあとから再施工と駆除で
継続して儲けられるという、これまたエグい、おぞましいビジネスモデル。。
こんなこと書いて私、刺されないでしょうか。自殺なんてしませんからね。

しかしエンドユーザーの住まい手のことをなんと考えているんでしょうか。
直接のお客さんが元請け工務店さんなら、もはや関係ないのでしょうか。。

この業界を変えたい〜  ぉぉおおお

もっともらしいセリフと詭弁で大手ハウスメーカーを筆頭に何万棟もそんな
仕事をやっている人たちが確実にいます。そこに何の職業使命感があるのか
私にはさっぱりわかりません。最初に効果がいずれ切れる薬を撒くことが、
自分たちの食い扶持をつなぐのに必須なのです。いやそこまではと仰るかも
しれませんが、ホウ酸処理が普及すればハワイ州で新築住宅で約20年前から
食害が無くなったように再施工や駆除の仕事は築浅で基本的になくなります。
もちろん、それ以前の建物もありますから一切なくなることもありませんが。
その時には棲み分けもあるかもしれません。

薬剤メーカーから見てもホウ酸は敵です。在庫の農薬が売れなくなります。
真菌類にも効くから水虫の薬だとかで、もっと売ればいいのにと感じますが。

すなわち木部の劣化対策は、全て「予防」で済むのです。

そのとき、シロアリ屋なんて差別意識が満載?の言葉は無くなっているかも。
しろありなんて被害にあわないのがもはや当然という時代がいずれ、来ます。
我々もしろあり屋でありホウ酸屋ですが、文字通り「防蟻」が可能となる、
劣化対策が業として業界として確立しているはずと、防蟻屋は思うわけです。

というわけで、敵はしろありちゃんでなく、シロアリ屋さんだったり・・?
というより、我々が特に意識しなくとも、無理矢理ホウ酸を叩いてきますが。
そもそも過去に認定を得るまでも、内輪の猛反対があったわけですから・・・
ご一緒に力を合わせて戴いている仲間の方もおられますが、ごくごく一部です。

そもそも業界で一応は大手と呼ばれるところが、訪販で営業停止を喰らったり、
ネオニコチノイドを最新の安全な薬剤だとか最早寝言のようなコメント付きで
バンバン使ってたり、やたら金のかかるベイトやひば油を勧めるわけですから。
床下におびただしい換気扇が付いてたらSニックスやJエーさんだったり。。。

ここまで書いていいのかな。でも書かないとわかりませんよね。住まい手さん。
ネオニコチノイドなんてEUはおろか、お隣の韓国でも使用禁止されていますよ。
ミツバチがいなくなる、CCD(蜂群崩壊症候群)で、ぐぐってみてください。
そもそもニコチンに類似した神経毒というだけで屋内に撒く異常性が判るかと。
ネオニコチノイド3種と同様、フィプロニルも問題視され、禁止されています。

ひば油もかなり高いですよ、あんなの5年に一回もいちいち撒いてたら・・・
あと、炭だとかにがりだとか柿渋だとか。。。。もうコメントしませんが。。。
効かないものに保証だけつけて、その保証も最悪は使い物でなかったり??

比較広告ではないですが、比較にならないぐらい、アルミ単板ガラスサッシを
超えるぐらい時代遅れというか世界的に非常識なのです。頭痛が痛いですわ。。

あ、そうそう、ダスティングで粉を撒くと床下や小屋裏が清浄空間になって、
害虫等も生息・繁殖できなくなりますから、消毒のイメージぴったりですね。
既存住宅には消毒でダスティングをオススメします。そもそもアメリカですと
ホウ酸ってBORAXって洗濯洗剤ですからね。目を洗うのに使ったり。消毒だ!

もうですね、いろいろ言う人もいますが、ホウ酸しかないんです。実際問題。。
世界がそうなってます。それで、少なくともしろあり問題は解決されています。
また、腐朽菌対策や防カビ防虫など考えても安全性からも他に代替ありません。
良い悪い、好きだ嫌いだではありません。事実です。でないと私もやりません。
ホウ酸は正義なんです。独善ではなく、消去法からも、コストバランスからも。

2014年11月12日水曜日

不作為、何もしないことによる弊害

今回、不作為という言葉がまず浮かびましたが辞書にはこうあります。

・自ら進んで積極的な行為をしないこと
・法によって期待された行為をしないこと

後者は法律用語なのでさておき、今の日本の置かれた現状、あるいは
日本の家づくりの現状を考えると、不作為のオンパレードに見えます。

住宅産業というのは裾野が広いですから、そういう傾向が目立つのは
致し方ないのかもしれませんが。原発が爆発しても1%程度の推進派の
意向と利権が反映され再稼動されるのですから、パブコメをどんなに
頑張っても馬鹿らしくなってしまわれても実際おかしくありません。

さて、断熱施工や気密処理に残念ながら不作為があるように、我らが
防腐防蟻こそ不作為が横行しています。ただこれは無理もありません。
ロクでもない農薬系薬剤、猛毒のヒ素など有機薬剤が過去に横行し、
そんなもの使えるかという誠意あるつくり手さんが声を上げた結果、
限定付きで不作為でOKになったのです。

不作為でOKとは、具体的にはD1特定樹種と呼ばれる比較的しろありや
腐朽に強いと言われる樹種を土台等に使えばOKと公庫が認めたのです。

こうなると、うちはヒノキですから、いやヒバだから、ヒノキチオール
フィトンチッドがどうのこうの、床下が高いから換気・通風がどうの、
べた基礎だからどうの、俺は20年来これで大丈夫だったどうのこうの
このあたりは別に寒冷地だからイエシロアリいないからどうのこうの、
際限なく不作為の「言い訳」をされるわけです。防腐も防蟻もせずに。

公庫の長期優良住宅の勉強会提言では既にシロアリの被害警戒エリアを
北上させるべく警告がアナウンスされています。具体的にはイエシロも
新潟あたりの寒冷地も警戒すべきと謳っています。ヤマトシロアリなら
北海道旭川でも生息しています。マイナス20℃級の厳寒地の旭川です。
高気密高断熱住宅ならなおさらです。

そして一番大きな問題は別にシロアリだけが相手ではないという点です。
健康快適な住まいを維持するのには耐震性能や気密性能を維持するには
木部の劣化対策は必要不可欠です。腐朽菌やカビやダニ、ノミ、害虫、
これらへの対策は自然に放置していては、どんなに調湿素材を使おうが
屋内空調を万全にしようが万全たり得ないのです。ダニは相対湿度50%
から活発化しますから、壁体内や小屋裏・床下を完璧に管理させるのは
まず不可能です。

シロアリのいない北欧スウェーデン、なぜ木材の劣化対策、木材保存剤
としてホウ酸塩が昔から常識的に使われているのか?
日本の古い大工さんあたりには「外材はダメだ国産に限る」と仰る方も
いますが過剰な国産材贔屓や過剰なヒノキ信奉だけでは事を見誤ります。

外材でもホウ酸処理された材ならヒノキより防腐防蟻の観点から優れる
ことも当然ありえますし、ヒノキの心材やスギの赤身だから何もせずに
OKだなどという発想も非科学的です。しろありや腐朽菌は自然に返す
役割の益虫ですから。ヒノキでもスギでも長い目で見れば同じことです。
もちろんその丈夫な材にホウ酸処理されれば鬼に金棒ではありますが。

「防腐防蟻は何をされますか?劣化対策をどのようにお考えですか?」
これから家を作られる方はつくり手さんにご質問されてみてください。
「ちゃんとやりますよ」「しろあり対策協会の認定品です」「檜です」
「ヒバですから大丈夫です」...これら、ぜんぶ大丈夫ではありません。

【日本木材保存協会認定のホウ素系薬剤を責任施工で実施しています。
業界最長の15年保証で長期優良住宅の劣化対策等級3にも対応します。
ホウ酸は揮発しないので空気も汚さず赤ちゃんにもペットも安心です。
効果が持続しますから再施工の必要もなく将来コストが低減します。】

このように返ってきたら満点です。

【ボロンdeガード工法の全構造材処理を標準採用しています。】

このように返ってきたら120点です。アメリカカンザイシロアリ対策や
腐朽菌対策も見据えているだろうからです。

不作為とは真逆で、逆に将来、住まい手さんが不作為でも大丈夫です。
最初にちゃんとやっておけば、あとは不作為でも良い、住まいさんに
住まい方を強制しない、これが劣化対策の真髄であり、温熱環境でも
何でも同じことが言えます。逆に最初に何もせずに、将来住まい手に
特定の住まい方や、余計なコスト負担を結果的に強いるのは最低です。
いくら一見イニシャルコストが安くてもそれでは無責任に過ぎません。

2014年11月9日日曜日

住まいの劣化対策と、そのライフサイクルコスト

ストレートな題名です。

我々のボロンdeガードは、
イニシャルコスト≒ライフサイクルコストです。

ここ重要です。
これを謳うのには効果の持続が前提となります。

正確には新築15年保証なら定期点検2回は有償。
これも要らないとなれば、イコールとなります。

農薬であれ、ヒバ油であれ、効果は無くなります。
建物を手放すまで、朽ちるまで、ずっと再施工や
点検の費用負担が付きまとうわけです。

ちなみにヒバ油も神経毒の一種としてみる向きも
あるようで、シックハウスになる方も実際います。
揮発する以上屋内空気を汚し効果も消えるのです。
(詳しくは我々も業務提携させていただいている、
無添加住宅さまにヒノキチオールに関してお尋ね
いただければ、。)

当方の嫌いな工法の一つにベイト工法があります。
このベイト、逆に既存シロアリ業者さんあたりは、
好んで積極的に奨めてきます。

ご存知でしょうか。家の敷地、庭などに何箇所も
穴を掘って、薬剤の入ったケースを埋める訳です。

当然薬剤の効果はすぐなくなりますから、頻繁に
年に何回も変えたりする必要があります。
で、高度なノウハウ?があるからか危険性からか
住まい手さんでなく業者がやる必要あるんだとか。

自由の女神だかホワイトハウスだかに使われてる?
何年前の建物か知りませんが、一体いくらの金額を
メンテナンスに払い続けるのか、おぞましいですね。
ちなみに1886年がstatue of libertyの建立ですね。

ホワイトハウスに至っては1800年設立。
ベイト導入したのは1998年との情報がありますが。
何でこんなことしたと思います?
その時代なら既に全構造材でのホウ酸処理が常識。
まあ、既存物件だと、燻蒸するような国ですけど。

答えは、このベイトをどこの会社がやってるかです。
ホワイトハウスのベイトは、ダウ社のセントリコン。
言わずと知れた米軍事企業の中核で、巨大企業です。

だいたい、建物外のシロアリを根こそぎ殺そうとする
この発想が嫌いですね。軍事企業らしいと言えますが。
無用な益虫の殺生や、地球環境への負荷は要りません。

挙句住まい手さんは、ずっと屋外のシロアリその他の
虫を殺し続ける殺戮に否応なく加担させられた上に、
その費用負担させられる。業者は儲かるんでしょうが。

だいたい、タイトルに戻りますが、このベイトとやら
住まい、建物の劣化対策にはなんにもなっていません。

構造体の腐朽菌対策には一切効果ありません。ゼロ。
もちろんアメリカカンザイシロアリ飛んできたらOUT。
お布施だけしてひたすら被害がないのを祈るだけです。

無益なことせずちゃんとした劣化対策されてください。

家づくりに思うこと、感じたこと

住まい手の方、これから家を建てる方々が読むべき本としては
本屋さんやアマゾンでも山のように売られています。

その中で私が読んで今なお印象に残っているのは西方先生の本、
それも特に建築知識ビルダーズという工務店ビルダーさん向けで
断熱の神様、秋田の西方先生が監修記事を書かれていた号です。
http://kcbuilders.blogspot.jp/2012/05/09526.html

もちろん有名どころの先生方の本は色々と買い読み漁りました。
南さん、森さん、竹内さん、伊礼さん、野池さん、前さん、、
フラット35の木造やRCの仕様書なんかも目を通したりしました。

私は図面が描けるわけでもありませんが、それでも図面が豊富な
書籍は有益だと感じました。西方先生や伊礼先生などそうですが、
まさに惜しげも無く図面だらけ。これは再現性が高いということ。
実際は細部は簡単に再現などできないでしょうが・・・
それでもこのような納まりにして欲しいと具体的に言えますから。

ところで、オーガニックスタジオ新潟の相模さんという方、私は
この仕事始めてから懇親会で同じテーブルでお会いしたんですが、
見事に、西方先生の教えをまさに愚直に実践されているんですね。
西方先生も相模さん相模さんとやはり可愛いのか?おっしゃる。

もちろん相模さんが猿真似しているということでなく相模さんも
ハウスメーカーほかで酸いも甘いも経験をされてきた人ですから、
いかにコストパフォーマンスよく高性能住宅を新潟の地で他社に
差別化して提供するかに腐心されている。ただベーシックな部分
温熱環境のベースとなる断熱気密、同じ新住協の所属というのも
あるでしょうが、その部分の一番オーソドックスでベーシックな
やり方を徹底的に模倣されている(多分間違い無いかと思います。
ご本人がそう言っておられるので。)

ご一緒の席でもノウハウをあからさまに全部オープンにされる。
お酒の力もあるでしょうが、本当にナイスガイな人なんですね。
まあ歯に衣着せぬ物言いの人なのでご苦労あるでしょうが。笑
今や押しも押されもせぬ、新潟で行列ができる工務店さんです。
ちなみに松尾さんや、今、国立競技場の建替え問題で問題点を
バンバンマスコミに挙げている森山さんあたりは、ご盟友です。

で、おそらく高断熱・高気密の高性能住宅を検討されるときに、
住まい手さんがよくご覧になるBlog主っておられるかと思います。
そういう方々って情報発信の際にもノウハウを隠さない、むしろ
積極的にオープンにして、業界がより良い方向に変わることや、
最終的に住まい手さんにメリットがあることを望んでらっしゃる
ケースが大半だと思います。

逆にわかりにくい、オカルトな、と言ったら語弊がありますが
科学的だったり論理的だったりでないものも確実に、あります。
情緒的、感情的と時には言い換えても良いのかもしれません。
こういうものは絶対に無駄とは限りませんがコスト的な面から
ほぼ無駄に近いケースすらひどい時にはありえる気がします。

私が申し上げたいのは限りある時間、限りある予算、リソースの
中で最善の住まいにたどり着くのに、大事にすべき点をまずよく
整理されるのが良いと思います。その際に極力科学的に合理的に
考える習性を付けれらる必要があろうかと思います。そして一番
申し上げたいのは住まい手さんも家づくりに際してよくよく勉強
されるべきです。そして手垢のついた言葉ですが、あとになって
やり直せないことはちゃんとしておくこと。その逆も真なりです。

最後に先日来登場しているFさんが、こんなことを言っていたので
ご紹介します。

「工務店さんの標準仕様で窓と防蟻を見ればレベルがわかります。
その上で気密測定と燃費計算をされているところがベストでは。」

Fさんのご経験を踏まえての言葉と思いますが、なかなか真意かと。
窓とわかりやすく言っていますが、温熱に関わる断熱や気密面は
防腐防蟻と同じく後からの変更はコストでも手間でも難しいです。

本もですが、家づくりにも先達はあらまほしきことなり、ですね。
勿論ご信頼できる設計・施工者さんに任せられるのが理想ですね。
それもやはり口コミが大きいかもしれません。情報元次第ですが。

私の考えを言うなら、欧州などで温熱専門の設計監理があるように
デザインはデザインで、温熱は温熱で、日本もできればいいのにと。
もちろんこの温熱にはパッシブデザインなども含まれるでしょうが。
そうなると住まい手さん側の選択肢も随分広がるような気がします。
本当はそこに設備専門と分かれててもおかしくないのでしょうね。

その上で最後は人間同士なので、チャーミングな住まい手であれと。
私も、全構造材処理の施工の見学に来られた住まい手さんの方で、
縁あってその場でもいろいろご質問やお話もさせていただいた後で、
「私、防蟻屋さん大好きなんですよ。」とおっしゃられた時には、
思わず完成見学会にお祝い菓子折り持って行ったりしましたね。笑
大好きって、女性ではなく男性の方ですけどね。笑

完成保証だとか、施工者のチェックだとかも最重要ですが、やはり
粋なお客さんには意気に感じる部分は作り手側もあるかと思います。
今思うと私はかなり小うるさい嫌な客だった気もしますから。苦笑

2014年11月7日金曜日

号外【必ず読んでください。これから家づくりする方は絶対です。】

今日の日本経済新聞の電子版に松尾さんの記事が出ています。

一人でも多くの人に目を通してもらいたいので確実に読んでいただけるようそのまま転載させていただきます(問題指摘が日経側であれば対応します)

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78836460U4A021C1000000/


低い断熱性なぜ放置、世界に遅れる「窓」後進国ニッポン 
松尾和也 松尾設計室代表

(1/4ページ)
2014/11/7 7:00
ケンプラッツ
 日本の住宅の断熱性能が相対的に低いことをご存じだろうか。部位ごとにみれば窓の性能に大きな課題がある。窓の重要性について啓蒙活動を続ける松尾設計室の松尾和也代表は、「『窓』先進国の欧州に比べればもちろん、日本と気候が近い中国や韓国にも劣っている」と話す。松尾代表に、近年の傾向を踏まえて解説してもらう。
 日本は世界から見て、「ものづくり先進国」「超一流の工業国」というイメージがあると思います。しかしながら窓に限っては全く逆で、日本の工業製品の中でほぼ唯一といっていいほど、レベルの低い状態が続いてきました。
 まずは、その証拠として世界各国の窓の断熱性に対する最低基準と日本の窓の実態を比較してみましょう。
各国が求める窓の断熱性能を熱貫流率(表中のUw。単にUとする場合もある)で比較。小さいほど断熱性能が高い。ここに載せた値はどれも最低基準であり、これ以下の値にすることが求められている(資料:テクノフォルムバウテックジャパンの資料を一部加工)
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各国が求める窓の断熱性能を熱貫流率(表中のUw。単にUとする場合もある)で比較。小さいほど断熱性能が高い。ここに載せた値はどれも最低基準であり、これ以下の値にすることが求められている(資料:テクノフォルムバウテックジャパンの資料を一部加工)
 窓の断熱性能は、「熱貫流率」という指標で比較します。U値とも言い、単位はW/m2(平方メートル)・Kです。1m2当たり、かつ1時間当たりに通す熱量を表し、小さいほど熱の出入りが少なく高性能であることを意味します。多くの国では窓の重要性がよく認識されており、U値に関して最低基準を設けています。その値をまとめたのが上の表です。
 日本には非常に残念ながら、いまだに最低基準が存在しません。よくあるアルミニウム製の枠に一重(単板)のガラスを使った窓は、U値が6.5W/m2・Kと、とんでもなく低性能な値ですが、今もこうしたタイプの製品を販売することが許可されています。日本に5700万戸あるといわれる住宅の8割以上は、U値が6.5W/m2・Kというレベルでしかないといえます。
■1999年制定の基準が現役
 既存住宅は仕方がないとしても、新築住宅においても売れ筋の7割が4.65W/m2・Kという低いレベルにとどまっています。国内では窓の性能は星の数で表しており、その評価は下記のようになっています。
 冗談みたいな話ですが、次世代省エネ基準という1999年(平成11年)に定められた基準が、いまだ住宅業界では「あがり」としてあがめられる風潮があります。基準値は地域によって異なり、東京や大阪など大半の地域を含むエリア(旧・IV地域)については、あろうことか、窓性能の目安として4.65W/m2・K以下と書かれているのです。
経済産業省が定めた窓の等級。最高レベルでも熱貫流率は2.33W/m2・K以下と、諸外国に比べて求められる性能が低い。義務化もされていない(資料:ケンプラッツ)
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経済産業省が定めた窓の等級。最高レベルでも熱貫流率は2.33W/m2・K以下と、諸外国に比べて求められる性能が低い。義務化もされていない(資料:ケンプラッツ)

■欧州だけが高基準にあらず
 「欧州は省エネや断熱の基準が厳しすぎるから、それと比べるのは酷だ」。こんな意見がよく聞かれますが、それは欧州だけの話ではありません。お隣の韓国と比較してみましょう。
 東京や大阪に該当する地域(図のSouth Zone)の戸建て住宅(同Detached house)に対する最低基準は2.7W/m2・K、推奨基準は1.6W/m2・Kです(60m2超)。これが意味するところは、同じくらいの温度域での比較では、今の日本の最高基準(2.33W/m2・K)が韓国の最低基準程度でしかないことを表しています。
日本と韓国(Middle Zone、South Zone、Jeju Island=済州島)の断熱基準を比較。韓国の方がシビアだ(資料:テクノフォルムバウテックジャパンの資料を一部加工)
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日本と韓国(Middle Zone、South Zone、Jeju Island=済州島)の断熱基準を比較。韓国の方がシビアだ(資料:テクノフォルムバウテックジャパンの資料を一部加工)
 さらに、日本では最近まで、断熱性能に有利な樹脂製の枠と三重(トリプル)のガラスを使った製品は、ほとんど販売されていませんでした。その状況下では、日本の最高レベルのサッシが韓国の推奨基準に達することができなかったのです。
 では、中国と比較してみましょう。
日本と中国で求められる断熱性能の比較。東京や大阪と同温度域である緑に着色したエリアは2.5W/m2・Kと、中国の方がシビアだ(資料:テクノフォルムバウテックジャパンの資料を一部加工)
日本と中国で求められる断熱性能の比較。東京や大阪と同温度域である緑に着色したエリアは2.5W/m2・Kと、中国の方がシビアだ(資料:テクノフォルムバウテックジャパンの資料を一部加工)
 この資料は2012年に作成されたものですが、既に東京や大阪と同じ温度域においては最低基準が2.5W/m2・Kとされており、韓国と同等の厳しさとなっています。
 さらに、2015年をめどにこの基準が2.0W/m2・Kまで厳格化されることが検討されています。
 こうしてみると、いかに日本の窓が世界的に遅れているのかが分かります。日本メーカーなのに、中国に向けては日本国内向けよりも性能の高い窓を出荷している会社があるほどです。
■暑さの7割、寒さの6割は窓が原因
 なぜ、世界各国がこのように窓の高性能化を厳格に進めているのか。もちろん、理由があります。
 日本建材・住宅設備産業協会の調べによれば、住宅で生じる熱の損失を部位ごとに相対化してみると興味深いことが分かります。窓などの開口部を通して、冬に暖房の熱が逃げる割合は58%、夏の冷房中に入ってくる割合は73%にも及びます。暑さの原因の7割、寒さの原因の6割が窓とみなせます。
 もちろん、家の断熱性能や形状などによって異なります。国によっても異なります。しかし、どの国でも暖房にかかるエネルギーはかなり大きな比率を占めており、窓はその原因の半分以上を占める部位なのですから、規制を厳しくするのは極めて合理的なわけです。
一般的な住宅で生じる熱の損失を、部位ごとに相対化した値。特に開口部からの熱の出入りが大きいことが分かる。1999年の省エネ基準(次世代省エネ基準)で建てた家がモデル(資料:日本建材・住宅設備産業協会の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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一般的な住宅で生じる熱の損失を、部位ごとに相対化した値。特に開口部からの熱の出入りが大きいことが分かる。1999年の省エネ基準(次世代省エネ基準)で建てた家がモデル(資料:日本建材・住宅設備産業協会の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
 日本の住宅の冷房エネルギーについては、年間を通せば暖房の10分の1程度しか使われません。しかしながら、最も暑いとされる8月15日の14時頃は、1年で最も電力需要の高い時期でもあります。発電所の設備はこの時期の需要量をベースに計画されているので、暑さの原因の7割を占める窓を高性能化することは、やはり大きな意義があります。
■アルミの枠は熱が逃げやすい
材料の熱伝導率の比較。アルミは樹脂や木に比べて熱を通しやすく、窓枠に利用するのが不利であることが分かる(資料:ケンプラッツ)
材料の熱伝導率の比較。アルミは樹脂や木に比べて熱を通しやすく、窓枠に利用するのが不利であることが分かる(資料:ケンプラッツ)
 窓は枠とガラスで構成されています。このうちガラスの方はそれほど諸外国に比べて劣っているわけではありません。ペアガラス(複層=二重)やLow-Eペアガラス(低放射)といったガラスは、かなり一般化してきました。
 問題は枠にあります。断熱性能が低い窓枠は、あたかも隙間風が吹き込むかのようです。日本のサッシの大半は、枠がアルミでできています。理由はアルミが加工しやすい、工場のラインがアルミ向けであるといったことにあります。しかし物理的に考えれば、枠にアルミを使うことはあり得ません。断熱性能の目安となる熱伝導率で各材料を比較してみれば明らかです。
 熱伝導率は、アルミかそうでないかで約1000倍も異なるのです。だから世界的にはサッシの樹脂化や木質化は当たり前になってきています。
世界の樹脂サッシの普及状況。日本はまだ普及が進んでいない(資料:樹脂サッシ普及促進委員会)
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世界の樹脂サッシの普及状況。日本はまだ普及が進んでいない(資料:樹脂サッシ普及促進委員会)
 米国では全50州のうち24州でアルミサッシが禁止されています。日本で売られている4.65W/m2・Kレベルのサッシは大半がアルミでできていて、アングルと呼ばれる室内側の部位だけが樹脂でできている「樹脂アングルサッシ」と呼ばれるものです。これが売れ筋の7割を占めます。
 大手住宅メーカーの大半が採用しているのはU値2.9W/m2・K(Low-Eペアガラス利用時)もしくは3.5W/m2・K(普通ペアガラス利用時)で内枠が樹脂、外枠がアルミでできた樹脂アルミサッシというものです。なかには、これを「樹脂サッシ」と呼ぶ人も存在します。
■ペアガラスでも結露の恐れ
 サッシに比べるとガラスはマシと言いましたが、2点ほど指摘しておきます。
 まずは複層ガラスを構成する部材「スペーサー」についてです。ガラスを2枚重ねる場合、間に空気層を設けます。空気はガラスよりも熱を伝えにくく、空気があることで窓全体の断熱性能が向上します。その空気層を設けるため、ガラスの周囲に挟み込む部材がスペーサーです。
 日本製の複層ガラスのスペーサーは、ほぼ100%がアルミでできています。これも物理的に考えるとあり得ない話です。そもそも断熱性能を上げるためにスペーサーを使っているはずなのに、その部材が熱を通しやすい材料で作ってあるわけです。いま欧米では、樹脂とステンレスを複合して作っている樹脂スペーサー(ウォームエッジともいう)と呼ばれる部材が徐々に拡大しています。
 スペーサーの断熱性能を上げることは窓全体の性能向上につながりますが、それ以上に結露を防ぐという面で大きな意味を持ちます。
 どんな窓でも最も結露する可能性が高いのは、下枠とガラスが接する近辺です。人間の健康に理想的な冬の室内環境は、室温が20℃で相対湿度が50%程度とされており、この状況では外気温が低いと、すべての樹脂アルミサッシで結露が発生します。
 結露が発生するか否かは、まず枠が樹脂か木なのか、それ以外なのかでほぼ決まります。枠とガラスの断熱性能を比較した場合、一般的には枠の方が低いので、結露が生じるかどうかは枠の性能に引っ張られます。上記の室内環境で外気温が0℃であれば、結露が始まる温度(露点)は9.3℃です。アルミの枠では多くのケースで結露してしまいます。
■樹脂スペーサーで表面温度2℃上がる
 では、樹脂の枠でありさえすれば絶対に結露しないのかといえば、そんなことはありません。普及レベルで最高性能の樹脂枠、16mm(アルゴンガス注入)の空気層を持つLow-Eペアガラスというサッシについて、実際にほかの条件を変えて比較してみました。
 アルゴンガスの有無と樹脂スペーサーの有無の計4パターンで下枠の温度を比較したグラフを示します。アルゴンガスは窒素と酸素で構成する空気に比べて熱伝導率が低いため、断熱性能を高めた複層ガラスの空気層に使われることがあります。
外気温が0℃、室内が気温20℃、相対湿度50%の場合、ペアガラスを使用したサッシの下枠が何度になるかを測定した結果。2枚のガラスの間に挟まれているスペーサーと空気の違いによって、9.0~11.3℃となった。9.3℃以下になると結露するので、樹脂スペーサーは有利(資料:テクノフォルムバウテックジャパン)
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外気温が0℃、室内が気温20℃、相対湿度50%の場合、ペアガラスを使用したサッシの下枠が何度になるかを測定した結果。2枚のガラスの間に挟まれているスペーサーと空気の違いによって、9.0~11.3℃となった。9.3℃以下になると結露するので、樹脂スペーサーは有利(資料:テクノフォルムバウテックジャパン)
 このグラフを見れば分かると思いますが、アルゴンか否かによる下枠表面温度の差はせいぜい0.2~0.3℃程度しかありません。しかし、スペーサーが樹脂なのかアルミなのかによって、2℃程度も違うのです。しかもこの2℃の間には、結露が発生するかどうかの境目である9.3℃というラインが含まれています。樹脂スペーサーであれば、空気層がアルゴンでなくても結露しないことが分かります。
 「たかが結露くらい」と言われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、過去に日経アーキテクチュアが住宅の不満について住まい手1万1000人を対象に実施したアンケートでは、結露が不満ランキングの3位に堂々入っています。
■「結露は瑕疵」の欧米
 先の日本建材・住宅設備産業協会の調べによれば、窓など開口部からの熱損失は、少ない方の冬でさえ58%であり、次点の外壁15%と換気15%と比較しても圧倒的に大きくなっています。窓の設計が最優先かつ最大の課題であるのは、このためです。
 窓の性能で最も重要なのはU値ですが、日本ではこのU値の表示方法に課題があります。
 諸外国では枠とガラスを別々に計算します。同じ製品でも開き方や面積が違うと1枚ごとにU値を別々に表示するのが一般的です。我が国ではそうなっていません。窓からの熱損失は最も大きな割合を占めるにも関わらず、その窓のU値がかなり概略の表示になっています。
 例えば2.33W/m2・K以下という表示であっても、実際には1.7W/m2・Kのものがあったり、ひどい場合は2.33W/m2・Kを超えるものも存在するのが実態です。その結果、正確な情報が分かりにくくなっています。
 ドイツやオーストリアでは窓の結露はもちろんのこと、壁体内の結露においても徹底的に抑制が図られます。「建築物理上、結露を引き起こすのは誤った設計であり、人の健康を害するから瑕疵である」という考え方が根底にあります。事の重さを痛感します。
 オーストリアでは鉄筋コンクリート(RC)造マンションなどは、コンクリートの水分がほぼ抜けるまでの2~3年は家賃が低く貸し出されるということも聞いています。そもそも欧州のマンションは外断熱工法なので、結露は日本に比べてはるかに少ないのですが、そのうえでの話です。
 一方、日本なら築後2~3年は賃料が最も高く取れる時期です。それどころか日本ではほぼ全てのマンションで、北側の部屋が結露に悩まされています。マンション販売会社によっては、「加湿器を止めてください」にとどまらず、引き渡し時に除湿機をセットにして渡している会社さえあります。
 居住者の健康に対して国や建築関係者がどう考えるか、「健康で文化的な生活を送る」に当たって温度や湿度といった重要条件をどう考えているのかがよく分かる一例です。少なくとも、欧米の大半の国ではこうしたことを「基本的人権」と捉えて重要視しています。
■2014年は「窓改革元年」
 欧州ではこれまで20年以上かけて、地道に、まずは断熱強化に取り組んで来ました。一定の成果が見えてきたということで、ようやく一次エネルギー基準に取り組み出しています。
 一方、日本の政策は、断熱性能の低い状況を放置しながら設備機器によって一次エネルギーさえ減らせれば良いと考えている節があります。エネルギー輸入量、光熱費、CO2(二酸化炭素)排出量を減らすことが目的で、住む人の快適性や健康といったことは二の次になっています。家を建てるお金を払うのも、そこに数十年住み続けるのも住人であるのに、その住人のことが第一に考えられておらず、窓メーカーも法律や基準も現状に甘んじています。
 とはいえ、2014年に入ってから日本の窓メーカーに、この状況を改善していこうという気運が生じています。現在は各社がU値1W/m2・K前後と世界レベルのサッシを発表しています。北海道や東北、日本海側の地域ではこのレベルが必須といえます。東京や大阪の近辺でも、U値1.5W/m2・K程度の窓が、健康で快適でありながらトータルコストを安く抑えるのに必須のアイテムです。
LIXILが2015年1月に発売予定の樹脂窓「エルスターX」。熱貫流率は0.79W/m2・K(資料:LIXIL)
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LIXILが2015年1月に発売予定の樹脂窓「エルスターX」。熱貫流率は0.79W/m2・K(資料:LIXIL)
 2014年は、こういった窓が普及し始める「窓改革元年」です。メーカー側がこうした窓を発売したからには、次は設計者や工務店が使う番です。
[左]YKK APが2014年4月から販売している樹脂窓「APW430」。熱貫流率は0.91 W/m2・K。このほか9月に、樹脂スペーサーを使って熱貫流率を1.48W/m2・Kに低減した「APW330」のバリエーションをラインアップに加えた(資料:YKK AP)
[右]三協立山の三協アルミ社が2014年4月から販売している樹脂窓「トリプルスマージュ」。熱貫流率は0.86W/m2・K(資料:三協立山)
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[左]YKK APが2014年4月から販売している樹脂窓「APW430」。熱貫流率は0.91 W/m2・K。このほか9月に、樹脂スペーサーを使って熱貫流率を1.48W/m2・Kに低減した「APW330」のバリエーションをラインアップに加えた(資料:YKK AP)
[右]三協立山の三協アルミ社が2014年4月から販売している樹脂窓「トリプルスマージュ」。熱貫流率は0.86W/m2・K(資料:三協立山)
 窓を製造する側の事情に基づいて作られた基準をベースに設計を行うことは、全く意味がありません。設計者、工務店は誰の家を作っているのかをきちんと考えれば、不十分な基準に基づいて自社仕様を決めることは絶対にあり得ないはずです。
松尾和也(まつお・かずや) 松尾設計室代表、パッシブハウスジャパン理事。1975年兵庫県生まれ、1998年九州大学建築学科卒業(熱環境工学専攻)。日本建築家協会(JIA)登録建築家、一級建築士、APECアーキテクト
[ケンプラッツ2014年9月25日付記事を基に再構成]