2014年10月27日月曜日

俺の家は(私の家は)安心安全と本当に言えますか?

本日お邪魔した三重の工務店さんでこんなご質問が設計ご担当者の方からありました。

「防腐防蟻で合成殺虫剤が悪いのは感覚的にわかるんだけど、もっとこう、解りやすい、なんていうのか被害とかはないのですか?例えばベトナム戦争の枯れ葉剤とかのような奇形児だとか。。。」

現在日本の防腐防蟻剤で最も使われているネオニコチノイド系農薬でハチやトンボがいなくなる、すでにいなくなっているという深刻な生態系への影響、懸念の話も差し上げましたが、それよりも直接的な人体への影響に関する答えを欲されていたようです。

「海外では農薬の使用により生まれてくる赤ちゃんのIQが低下するリスクがあるとの研究データが発表されています。いわゆる発達障害リスクです。そもそも農薬は神経毒であり、おっしゃる枯れ葉剤、マスタードガスなどと同様に神経中枢に作用しますから。。奇形云々まではおそらくデータとしては拾えていませんが。。。」

古来、防腐防蟻業界も有機リン系の薬剤、薬害で大問題を起こして以来、同じ農薬由来の合成殺虫剤でも少しでも安全性の高いといわれる(=危険性の少ない)ものを化学メーカーも出してきてはいます。以前よりも匂いも減り、LD50(=半数致死量;当該量以上を摂取すると半数が致死するという危険性を判断する際の指数)のみで安全性を謳い、一見大丈夫そうなカタログスペックです。でも本当でしょうか。

揮発して効果もなくなる(*ホウ酸は揮発せず化学的に安定しています)、ましてや空気を汚して危険性が疑われるものを好き好んで使う必要性が本当にあるのでしょうか?(屋内の空気汚染の7割は床下からと言われています。) しろありの被害は確かに恐ろしいですが、そのために予防と称して少なくとも新築住宅の屋内に駆除剤を撒く必要があるのかどうか。

例えば蚊が出た時にキンチョールを撒く人はいますが、蚊が嫌だからといって家中にキンチョールを先に撒いておく人は居ないでしょう。でも、防腐防蟻剤でピレスロイド系農薬由来のものは、要はでっかいキンチョールを柱や土台に塗りたくっているわけです。代々木公園で大量に撒いていたあれです。800L撒いたそうですが、面積比率的に言えば家一軒にも同じぐらい撒いています。

だからと言って農薬が危険だから何もしなくていいということでもないのですが、これでは何もしないほうがましというのも比較論で正論だと思えてしまいます。既に正解はあるのですが、、、先日住まい手のFさんが工務店標準の防腐防蟻をキャンセルされ、建物竣工引き渡し直後にダスティング工事のご依頼を頂いたお話をしましたが、こういった勉強された方が造り手はもとより、住まい手さんにこそ増えることを祈ります。健康被害も何も全てのリスクは住まい手さんにありますので。

日本の防腐防蟻(劣化対策)はイニシャルコストがこれまでは殆どかかっていなかったのです。あとから駆除や再施工で儲けるシステムというのかビジネスモデルで繁盛してきたからです。大手ハウスメーカーに至っては、おそらくシロアリ業者側も無料に近い格好でやっているのでは?。。 あとから優良顧客名簿をもらえることを考えれば、5年後10年後、あるいはずっと商売の種の蓄積になるわけですから。業界(しろあり対策協会という業界団体)でホウ酸が嫌いな方が多いのもうなずけます。仕事がなくなりますから(もちろん問題意識を持ってホウ酸も手掛けておられる立派な方もいますが。)

ですから住まい手さんも、大切な家づくりのために劣化対策にも、一定のコストはFさんのように覚悟はされてください。といっても家一棟丸々やっても坪1マンです。通常の1m処理なら普通の家の大きさ(30坪総二階)で10万円程度の設計価格。新築でやってもらえば、将来の再施工は基本的には不要です。(標準15 年保証で、再施工でもう10年、都合25年保証も可能ですが。)

とにかくお金をかける順番だけは間違えないでください。よく言われることですが、内装仕様、あるいはキッチンなどの設備などは将来、後からでもいくらでも変更が効きます。一方、サッシや、断熱気密、それに防腐防蟻あたりはコスト的にも物理的にも後からだと容易に変更できない要素です。そして、それこそが将来コスト、ライフサイクルコストを決めます。イニシャルコストだけに目を奪われると業者さんのいい商売になるだけです。言葉は悪いですが、シロアリ業者さんの餌食になってしまわれては元も子もありません。

正しい劣化対策で建物の耐久性を向上させ、無駄なメンテナンスコストの掛からない、手間いらずで、それでいて健康快適で省エネな住まいを経済的に是非実現し手に入れられてください。良好な温熱環境を得た上で、カビやノミやダニやGにも悩まされない、安心安全で良好な空気環境を是非得ていただきたいです。我が家は実現しています。

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