2014年10月28日火曜日

天然が一番、自然が一番は本当なのか?

少々悩ましいテーマにしてみました。

まずホウ酸の話、これは鉱石です。山から採れます。
残念ながら日本には砂漠がないので採掘はされません。
メキシコ、米カリフォルニアなどの鉱山で採掘されます。

ただし、ホウ酸泉という格好で温泉では湧出しています。
ずた袋に入って肥料としても売られて、使われています。
農業をされる方なら普通にお使いです。

付け加えると目薬に入ってたり、ワインに入ってたり、
本場物のキャビアに入ってたりもします。かつては、
日本でも食料保存剤で使われていました。
アメリカあたりでは洗濯石鹸に普通に入っています。
ストラディバリウスの制作に使われていたのも有名です。

このホウ酸塩というしろもの(まさしく白い粉ですが)
実際工場で100%純度に化学的に精製はされていますが、
これは漆喰の原材料の石灰石あたりでも同じことです。
要は同じ天然自然物であり、無機物です。

私はこの無機というのが結構重要だと思っています。

というのは一言にホウ素系の防腐・防蟻剤といっても、
有機溶剤とかが混入されているケースが実際多いのです。
多いというか、他は国外製品含めて全て入っています。

なぜ溶剤を入れるかというのは鮮度を保てないというか
要は結晶化しないようにしているわけです。

それでも我々より薄いながらも放っておくとすぐ結晶化を
してしまうものがメーカー商社販売店通じて市場に平気で
流通しています。特にこれからの冬のシーズンが怖いです。

どうやら怖いと思っているのは我々同業者だけではなく、
保険会社もそう感じているようで、保証期間が短縮される
同業他社さん(E社さん)が残念ながら出てしまいました。

保険事故はありませんと謳ってらっしゃいますが、保険を
使わなければ保険事故にはならないそう(一般論として)。
誰がどのように施工しているかもマニュアルも十分でなく
わからないのでさもありなんな気もするのですが。。

というわけで我々はフレッシュな作りたてをお客様の元に
お届けし自分達でその場で調理するわけですから美味です!
ホウ酸は無色無臭で味もへったくれもないのですが。。笑

ちなみに誤飲しても96時間以内に腎臓で100%処理されます。
誤飲なんかしませんけどね。関係するのは施工者だけです。

先述のとおり施工後は揮発しませんので、住まい手さんが
壁むりやり引っ剥がして柱や土台を舐め続けでもしない限り...

それでも到底危険量には至りませんが(塩やコーヒーと同じで
原材料の粉の状態で200gぐらい以上、成人男性で必要です。)

防蟻の観点から言えば、無機系の面材、ダイライトやMoissなど
これらは物理的にかじられません。食害リスクがありません。
ですから耐震でも防蟻でも結露回避でもメリットはありますね。

私のオススメはハイベストウッドですね(我が家はダイライト)
これにホウ酸を塗ればばっちりかと。。コストバランスもOK。
唯一ホウ酸吸いまくるのが難点ですが。笑

一方、防蟻の観点で、天然自然ぽい話になると、だいたい以下の
ような2大トピックが出てきます。

①炭は?ひば油は?柿渋は?にがりは?天然ピレスロイドは?

 面倒なのでひとくくりにしましたが。笑 炭に防蟻効果はゼロ。
 ひば油は効果ありますが揮発する上に高価ですからすぐ無駄に。

 柿渋もにがりも効果で言えば。。。天ピレに至っては除虫菊で
 天然由来でも結局神経毒で合成ピレスロイドと作用は全く同じ。
 しかも揮発し効果はなくなります。

 結局大抵は揮発してしまいアウト。
 炭は揮発しないけど効果がない!
 にがりは販売中止になるようです。

②D1特定樹種、ヒノキや青森ヒバを土台とか使えばよいだろう。
 古い大工さんとかに多いです。ヒノキへの過剰なご信頼感。
 私もヒノキ大好きで自宅でもふんだんに使ってますが。

 まず「耐蟻性能」「耐腐性能」でぐぐって調べてみてください。
 大とか中とか小とか書いています。

 これは一定期間、屋外放置してどれが食われにくかったかを
 腐りにくかったかをただ単に順位づけしているだけの話です。
 結局みんな腐るし食害に遭います。当前です。それが自然です。

 しろありと腐朽菌というのは木材を分解する役割、益虫です。
 勝手に害虫と呼んでいますが、自然界では明らかに益虫です。
 木材のセルロースを分解できるのはこの二者だけだからです。

 そして、建物の二大劣化要因、これは腐れとしろあり被害です。
 腐れをなくすには、温度や湿度など要因は様々ですが、一番
 確実なのは腐朽菌自体を生息できなくしてしまうことです。
 ホウ酸は水虫(真菌類)にも効くとの話も一部ありますから。

 そして何十年と住まい続けるのに、半年や一年の実験だけで
 食害が多いや少ないではダメなことはお分かりかと思います。

 食われにくいではダメなのです。また通常の薬剤では虫の方で
 耐性がついてしまいイタチごっこになりますが、これもない。
 腎臓のない昆虫類等はホウ酸を処理できず代謝がストップ。
 この効き方は耐性がつかないのです。

 ヒノキに至ってはヒバと違いヒノキチオールすらありませんし
 過剰な信頼は正直やめたほうがよいです(杉の赤身でも同じ)。
 アメリカカンザイシロアリもヒノキは大好物ですし。。。

というわけで幾ら自然がいいからといって無処理で自然のままなら
虫に食われるのも腐るのも自然というごくごく当たり前の話です。

あと床下に風が通ればどうのこうの、乾燥してればどうのこうの、
もう迷信の域と思ってください。関係性がゼロとは言いませんが、
屋外の湿度が上がった時に基礎断熱でもしていない限り床下だけ
乾燥するなんてことはあり得ません。乾材白蟻に至っては・・・

とにかく科学的に、客観的に、論理的に何事も対処しましょう。
防腐防蟻も、建築でも、科学や物理の占める部分が大きいです。

情緒や感情、思い込みを信じてみても、いざというときににリスク
かぶるのは住まい手さんご自身ですからね。。木ぃつけなはれや!

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