2014年11月12日水曜日

不作為、何もしないことによる弊害

今回、不作為という言葉がまず浮かびましたが辞書にはこうあります。

・自ら進んで積極的な行為をしないこと
・法によって期待された行為をしないこと

後者は法律用語なのでさておき、今の日本の置かれた現状、あるいは
日本の家づくりの現状を考えると、不作為のオンパレードに見えます。

住宅産業というのは裾野が広いですから、そういう傾向が目立つのは
致し方ないのかもしれませんが。原発が爆発しても1%程度の推進派の
意向と利権が反映され再稼動されるのですから、パブコメをどんなに
頑張っても馬鹿らしくなってしまわれても実際おかしくありません。

さて、断熱施工や気密処理に残念ながら不作為があるように、我らが
防腐防蟻こそ不作為が横行しています。ただこれは無理もありません。
ロクでもない農薬系薬剤、猛毒のヒ素など有機薬剤が過去に横行し、
そんなもの使えるかという誠意あるつくり手さんが声を上げた結果、
限定付きで不作為でOKになったのです。

不作為でOKとは、具体的にはD1特定樹種と呼ばれる比較的しろありや
腐朽に強いと言われる樹種を土台等に使えばOKと公庫が認めたのです。

こうなると、うちはヒノキですから、いやヒバだから、ヒノキチオール
フィトンチッドがどうのこうの、床下が高いから換気・通風がどうの、
べた基礎だからどうの、俺は20年来これで大丈夫だったどうのこうの
このあたりは別に寒冷地だからイエシロアリいないからどうのこうの、
際限なく不作為の「言い訳」をされるわけです。防腐も防蟻もせずに。

公庫の長期優良住宅の勉強会提言では既にシロアリの被害警戒エリアを
北上させるべく警告がアナウンスされています。具体的にはイエシロも
新潟あたりの寒冷地も警戒すべきと謳っています。ヤマトシロアリなら
北海道旭川でも生息しています。マイナス20℃級の厳寒地の旭川です。
高気密高断熱住宅ならなおさらです。

そして一番大きな問題は別にシロアリだけが相手ではないという点です。
健康快適な住まいを維持するのには耐震性能や気密性能を維持するには
木部の劣化対策は必要不可欠です。腐朽菌やカビやダニ、ノミ、害虫、
これらへの対策は自然に放置していては、どんなに調湿素材を使おうが
屋内空調を万全にしようが万全たり得ないのです。ダニは相対湿度50%
から活発化しますから、壁体内や小屋裏・床下を完璧に管理させるのは
まず不可能です。

シロアリのいない北欧スウェーデン、なぜ木材の劣化対策、木材保存剤
としてホウ酸塩が昔から常識的に使われているのか?
日本の古い大工さんあたりには「外材はダメだ国産に限る」と仰る方も
いますが過剰な国産材贔屓や過剰なヒノキ信奉だけでは事を見誤ります。

外材でもホウ酸処理された材ならヒノキより防腐防蟻の観点から優れる
ことも当然ありえますし、ヒノキの心材やスギの赤身だから何もせずに
OKだなどという発想も非科学的です。しろありや腐朽菌は自然に返す
役割の益虫ですから。ヒノキでもスギでも長い目で見れば同じことです。
もちろんその丈夫な材にホウ酸処理されれば鬼に金棒ではありますが。

「防腐防蟻は何をされますか?劣化対策をどのようにお考えですか?」
これから家を作られる方はつくり手さんにご質問されてみてください。
「ちゃんとやりますよ」「しろあり対策協会の認定品です」「檜です」
「ヒバですから大丈夫です」...これら、ぜんぶ大丈夫ではありません。

【日本木材保存協会認定のホウ素系薬剤を責任施工で実施しています。
業界最長の15年保証で長期優良住宅の劣化対策等級3にも対応します。
ホウ酸は揮発しないので空気も汚さず赤ちゃんにもペットも安心です。
効果が持続しますから再施工の必要もなく将来コストが低減します。】

このように返ってきたら満点です。

【ボロンdeガード工法の全構造材処理を標準採用しています。】

このように返ってきたら120点です。アメリカカンザイシロアリ対策や
腐朽菌対策も見据えているだろうからです。

不作為とは真逆で、逆に将来、住まい手さんが不作為でも大丈夫です。
最初にちゃんとやっておけば、あとは不作為でも良い、住まいさんに
住まい方を強制しない、これが劣化対策の真髄であり、温熱環境でも
何でも同じことが言えます。逆に最初に何もせずに、将来住まい手に
特定の住まい方や、余計なコスト負担を結果的に強いるのは最低です。
いくら一見イニシャルコストが安くてもそれでは無責任に過ぎません。

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